決算シーズンがはじまっています。今週は、私の日本株ポートフォリオの持ち株比率で計ると、ほぼ半分の企業が決算を発表します。今週、決算発表する保有銘柄4社のうち、3社が本決算です。
今日は、オービックが2024年3月期決算を発表しました。その内容は、ふた桁の増収増益で、今期予想も、ふた桁の増収増益(営業利益)、とりあえず控えめな増配予想という、ほぼ想定通りのものでした。
オービックは統合基幹業務システム(ERP)でガッツリ儲かってる会社です
本日、2024年3月期決算を発表したオービックは、私の日本株ポートフォリオで保有比率が2番目に大きい銘柄です。同社は、ERPを手がけています。ERPといえば、今、グリコがトラブルで大変なことになっています。ちなみに、グリコはオービックではなく、SAPのERPを使っているようです。
SAPはドイツの会社であり、同社のERPは全世界ですごいシェアです。しかし、我々ガラパゴス日本人がグローバルなスタンダードをそのまま使うはずがなく、SAPを国内で使うならゴリゴリにカスタマイズする必要があります。実際、かつて私は外資系の企業に勤めてSAPを使っていたのですが、USならばERPで完結しているであろう業務でも、日本では追加で必要な業務手順が多くありました。たとえば、チケットに手書きで記入して、上司にハンコもらって、FAXして電話でFAX届いたか確認するとか……。これでは日本は生産性が低いと馬鹿にされるのも当然です。
ところが、オービックのERPならば最初から日本企業で使いやすいように作られているので、そのまま使えたり、少ないカスタマイズで使えるのです。オービック以外のシステムインテグレーターは、SAPのライセンスを受けて顧客企業の要求どおりに、ERPをゴリゴリにカスタマイズするのが仕事です。一方、オービックは日本企業向けのERPを各業種向けに自社開発して自社のクラウドサーバでサービスを提供しています。もちろん、販売も自社で行っています。そんなの、儲かるに決まっています。
それでは、オービックがどのぐらい儲けているのか、確認してみましょう。
2024年3月期も営業利益率が上がっちゃいました
オービックの2024年3月期決算は、前期比で11.4%の増収、EPSは15.8%増となりました。なかなか順調な様子です。そんなことより、すごいのが営業利益率で、なんと63.5%もあります。さらに、とんでもなくすごいことに、営業利益率は毎期上昇しつづけています。何期連続で上昇しているのか確認するために遡るのが面倒くさくて、途中で断念しちゃうぐらい上昇しつづけています。このままじゃ、いずれ100%超えてしまうんじゃないでしょうか。
冗談はさておき、営業利益率が上昇傾向にある要因のひとつに、オンプレミスから自社クラウドへの置き換えが進んできたことがあると思われます。クラウドへの置き換えは、あと1年か2年で完全に終わるようです。置き換え終了後、営業利益率が下がってしまう理由はないと思いますが、更なる上昇が可能なのか、とても気になるところです。
配当は更に増額されるでしょう
過去5年と10年の売上高、EPS、BPS、配当の成長率と、平均ROE、平均営業利益率を表にまとめました。売上高、EPS、配当の成長率については今期会社予想も書き入れました。
項目 | 5年 | 10年 | 今期会社予想 |
---|---|---|---|
売上高成長率 |
8.5% |
7.3% |
10.0% |
EPS成長率 |
12.5% |
13.1% |
9.4% |
BPS成長率 |
13.0% |
11.6% |
|
配当成長率 |
17.3% |
18.5% |
6.7% |
平均ROE |
14.7% |
14.3% |
|
平均OPM |
59.9% |
54.6% |
過去の業績はとても良く、安定もしていますし、今期業績の予想も順調といえそうです。そんな中で配当成長率の今期会社予想は、ちょっと低く見えます。しかし、オービックは1月の第3四半期決算発表にあわせて期末配当を増額するのが恒例となっています。現在のところ、今期は中間160円、期末160円の合計320円の配当で前期から20円増配予想となっています。来年1月に、期末配当が20円ぐらい増額されると予想しておきます。
オービックの決算は、予想通りな感じでした。心配はしてなかったけど、ひと安心です。次は木曜日、MonotaROと信越化学工業です。